No,298  塩見岳(3047m)と小河内岳(2802m)

南アルプスの展望台

《 2001年7月20〜22日、山小屋2泊 》

《 メンバー    単独 》

《 塩川登山口〜三伏峠(2611m)〜烏帽子岳(2726m)〜前小河内岳(2784m)〜小河内岳(2802m)避難小屋(泊)〜〜
〜〜三伏峠〜本谷山(2658m))〜塩見小屋〜塩見岳〜〜〜〜三伏峠小屋(泊)〜塩川登山口 》

塩見岳
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7月20日
午前3時伊那大島から小渋川に沿って湯折に到着。2時間弱の仮眠をとり、5時00分荒川三山に向けて出発。
暫く林道を歩くとルートは河原に出る。広い河原歩きが始まるが3,4回の渡渉で川幅はだんだん狭くなってきた。
水の勢いも増してくる。ここから数回の渡渉を繰り返すものの水の勢いは強くなり体が支えきれないほどになってきた。
渡渉に慣れていない単独の私には限界かもしれない。せっかく1時間半も登ってきた訳だが仕方あるまい。引き返す事にした。

この度の山行は故障している膝のことを考えて、身軽な荷物、
食料といえば、コンビニで買った牛丼弁当、8個入りのパン2袋、チューブ入りの練乳、太いソーセージ1本、おにぎり3個に飴だけ。水1リットルにウーロン茶500mリットル、長袖のTシャツと薄いフリース、雨具とヘッドランプ、シュラフカバー、ザックカバー、帽子にタオル、救急薬品、デジカメ1台、リュックの重さを入れても7KG前後だろう。
軽量にして一日で荒川小屋までを狙っていたのであったが、やはりルートの選択を間違えたのと、甘さがあったのだろう。

結局3時間以上のロスをして目標を塩見岳に変更。
大鹿村落合まで戻り、ここでNET仲間に変更の連絡をいれる。BBSの書き込みを見て、落ち込んでいた気持ちが和らいだものだ。本当に有り難かった。

塩見岳への登山口、塩川小屋のバス亭へ到着。
下山してバスを待っていた青年から情報を貰う。三伏峠小屋は満室状態の模様。小河内岳の避難小屋は新築され、管理人がいて有料宿泊、水もOK、こちらのほうが良さそうである。

9時45分出発
暫くは谷沿いに歩く、二回ほど木橋を渡る。左岸の谷の沢を越えると尾根の取り付きに出た。急登が始まる。ここは南アルプス、樹林帯をどんどん突き上げていく、この登山道には三伏峠までのきっちりした合表示がありました。8合目くらいから膝の痛みが出てきたが、ペースを落としゆっくりと登ることにしました。峠の少し手前で眼前に塩見岳の岩峰が現れた。
なぜか身震いがするほど嬉しかった。でも私はいつもこうなのである、山が恋人なのかもしれない。

13時15分三伏峠小屋到着
この峠は日本で一番標高の高い峠(2611m)なのです。小屋前は20人位の登山者で賑わっていた。私の前に居たアマチュアカメラマンのお兄さんと話が弾む。烏帽子岳からの塩見、甲斐駒、北岳、間ノ岳の入る構図を狙って此の辺で2,3日滞在するそうだ。山で遭う人の情報は聞いてみると為に成る。これが単独行の面白いところの一つでもある。

14時00分小河内岳にむかい出発
歩き出すと、忘れていた膝がまた痛み出してきたが、致し方ない。直ぐにお花畑に出る。ミヤマキンポウゲ、ミヤマタンポポ、クロユリ、ハクサンフウロ、ヨツバシオガマ、登山道にもイワベンケイや、クルマユリなどいっぱいです。

烏帽子岳に到着。やはりAカメラマンの言っていた通り塩見岳から北の展望は最高の場所だった。堂々と前に立ちはだかる塩見岳に圧倒されてため息が出る。南に目をやると、これから向かうなだらかな山容の小河内岳と手前に前小河内岳塩見岳とは対照的にやさしく見えている。このコースは花がいっぱいで随分楽しませてくれる。










16時20分小河内岳避難小屋到着
小屋の管理人Y氏は良く話をしてくれた。奈良県の人、大峰のスペシャリストなのだ、私とは話題が合いすぎるのか、いくらでもしゃべる事がある。 15名ほどしか泊めれない小屋は、みんな気安く話が弾んだ。勿論団体など入れる訳は無く単独者が多い。
ここは絶好の展望台、みんな外で展望を楽しみながら暮れるまで話し込んでいました。
深夜1時トイレに起きて外へ出て空を見上げると、雲の無い満天の星、久しぶりに大きく天の川を見ることが出来て、またまた感動です。



          

7月21日
4時00分、起床夜明け前の富士を見ながら日の出を待つ。太陽は蝙蝠岳の上に現れ、あっという間に昇っていった。
朝の静けさの中の富士山は神々しく。、右手に目を移すと、荒川岳の向こうの雲は少しピンク色に染まっていた。

5時15分三伏峠に向かって歩き始める。10分もすると膝関節が疼きはじめた。やはり塩見を諦め
下るしかないのか。右足は力が入らず、ゆっくりしか歩けない。
              中央アルプス                        仙丈岳と甲斐駒ケ岳
    
8時30分三伏峠に着く。痛みは激しく、時間を掛けて下山する事に・・・。
まあ、ビールでも飲んで休んで行くしか楽しみは残っていませんでした。

9時00分下山開始!!!!!。
5分ほど歩くと右後方には塩見の岩峰が見えた。またため息である。
ここで気がついたのですが膝の痛みが薄れている。塩見が「おいでおいで」をしている。
私の足は知らぬ間に塩見の方に向かって戻っていたのです。よう〜し一日余裕はある、行こう。
早速、三伏峠小屋で宿泊予約を入れ料金を払うことにより決定していたのでした。

アルコールの姓なのか、痛みは薄れていたのです。
幸いな事に塩見小屋までは起伏が少なく、ゆっくり歩く事で痛みも少なく、まずまず順調でした。
頂上直下の標高差300mの岩場も何とか通り抜ける頃、雨粒がパラパラ降ってきました。

13時20分塩見岳登頂。感無量とはこの事か?いつもとは違った嬉しさでいっぱいでした。
残念ながら山頂からの展望は無いが、味わいながらタバコを一服。
余りゆっくりもしていられない、小屋まで戻らねばならないのだ。
13時40分山頂出発。パラつく雨は大したことも無いが、ここの岩場はよく崩れる。安心は出来ない。慎重に足をはこんだ。塩見小屋で痛み止めのビール。

雨が降り出し雨具をつけ、ひたすら三伏峠小屋を目ざし、痛みと共に頑張ってみた。
早発ちの塩見岳を目ざした人たちはもうとっくに小屋に帰っている。自分の後ろには北岳小屋から遠路こちらを目指している、山頂で遇った単独者(Bさん)のみのはずであった。

17時30分、三伏峠小屋帰着
「やっとお帰りですか」小屋のバイトの女の子に声をかけられ、食事を済ませて(南アルプスの小屋は
何処でもカレーライスらしい)、寝床の案内を・・・・「別の建物の個室になります」と聞かされラッキー、ラッキー。2,3人入れるくらいの部屋だ。ここへ一人で〜〜〜まさか!
暫くして、後から下りて来たBさんもこの部屋に入ることになった。窓の外はテントが一杯、賑やかに食事や、その準備なのだろうか楽しそうにやっている。
寝る前にビールを飲もうと本棟まで行く。戻ってきて建物に入るなり小屋の係りの人から「すみませ〜ん、寝床こちらに移動させてもらいましたので」である。(せっかく喜ばせておいてそれは無いでしょう)・・・でも仕方あるまい。小屋泊まりは
こんなものだと思う、寝床さえあれば。

7月22日
4時30分
三伏峠小屋、下山にむけBさんと共に出発
暫くは普通に歩けた、30分もすると段差の多い坂道は膝の痛みが激しくスローになる。Bさんには先に行ってもらった。
8時00分塩川登山口に到着

いろいろと判断に迷った今回の山行は、ハヤル気持ちと膝関節の痛みとの対話の連続でしたが、男性的な塩見岳の岩峰と、女性的ななだらかな展望の峰、小河内岳は本当に魅力的でした。
小河内避難小屋の管理人Yさんをはじめそこに泊まっていた皆さん、そしてAカメラマン、Bさん有難うございました。

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